スカイプでクラスを続けている、大手メーカー、モスクワ勤務のAさんがTOEIC 860点をマークしました。
TOEIC を目安として、また1つの目標として励んでいる英語学習者の参考となるようAさんのTOEIC スコア推移表を下記に示しました。
学習時間とTOEICのスコアアップ
当研究所では今までの経験値からクラスでの学習時間とTOEICのスコアアップの相関を調べ、それを表にしてあります。そこから明らかになったいくつかの点を述べると:
1.クラスでの学習時間とTOEICのスコアアップには正の相関関係がある。(正比例とは限らない)つまり学習時間が長ければTOEICのスコアは上がる。
2.スタート時においてTOEICスコアが350点未満の生徒のTOEICスコアアップ率は個人差が大きい。(飛躍的に伸びる生徒がいる一方であまり伸びない生徒もいる。)
3.スタート時においてTOEICスコアが400点台前半から550点前後までの生徒の伸び率が良い場合が多い。(100時間のクラス学習後の標準向上点は100点前後)
4. TOEICのスコアアップは学習者のタイプにより伸び方が違ってくる。
5.TOEICのスコアが高得点になれば得点向上に時間がかかる。(TOEICのスコアが700点台後半の生徒の個別クラス100時間後の標準向上点は50点程度)
上記の各点を踏まえてAさんのTOEICスコア推移表を分析してみましょう。
AさんのTOEICスコア推移 | ||||
test days | LC | RC | TOTAL | class hours |
2011/10/30 | 395 | 215 | 610 | 0 |
2012/6/24 | 395 | 260 | 655 | 56 |
2012/9/23 | 365 | 315 | 680 | 108 |
2012/12/9 | 455 | 280 | 735 | 138 |
2013/2/17 | 365 | 320 | 685 | 166 |
2013/4/14 | 415 | 320 | 735 | 182 |
2013/12/8 | 450 | 355 | 805 | 244 |
2014/5/10 | 445 | 400 | 845 | 276 |
2017/2/3 | 450 | 410 | 860 | 360 |
LC:聴解力 | RC:読解力 |
AさんのTOEICスコアの特徴
まずAさんの特徴としては、もともとLCの得点が高かったということがあります。クラスをまだ始めていない時にLCだけで395点を取っています。reading も同じくらいの力ならすでに790点取れているレベルです。
一方reading に関しては215点と寂しい限りです。もしLCも同じくらいの力なら430点しか取れていません。英語圏でないとはいえ、海外勤務が長かったから実際の会話力とより相関が高いLCの力が付いたのか、逆に第2外国語の力も入れて実際の会話力があるから海外勤務になったのかはわかりませんが。
Aさんの最初の100時間
TOEICのスコアが600点前後は100時間後のスコアは80点アップが標準です。Aさんはモスクワ勤務になるまでは殆ど全部が土曜のクラスだったので2012.9.23までのclass hours 108 といっても実質は90時間です。90時間で70点アップは、概ね平均的です。もっと突っ込んでいえば、語彙力、英文構成力に難のあったNさんがここまでTOEICのreading のスコアアップできたのはかなりの努力があったはずです。
Aさんの最初からの200時間
2013/4/14受験日のTOEICの結果、805点はclass hours で244class hoursの後です。
しかしこれも平日の1クラス2時間のクラスではなく、土曜日の1クラス1時間40分のクラスなので実質では203時間です。すなわち当研究所で学び始めてから200時間後ということになります。その時点でのTOEICのスコアは805点。標準的にはTOEICのスコア600点前後の生徒の100時間後のスコアは680点前後、680点前後の生徒の100時間後のスコアは740点前後です。つまりクラス学習200時間後は当初610点の生徒は標準で740点が標準です。610点から805点になったのは標準にだいぶ差をつけて大きく伸びたといえます。
その時点のTOEICのスコアを仔細に見ていくと、何と言ってもreading の伸び率が圧倒的です。LCも200時間前と比較すると55点と伸びていますが、reading では140点と圧倒的に伸びていて、英文を読むのに必要な語彙力と英文の構成が身に着いてきているのが分かります。
高得点になればなるほど得点アップに時間がかかるTOEIC
上記にあるように、TOEICのスコアが高得点になればなるほど得点アップには時間がかかります。実際、当研究所作成のTOEICのスコアとクラス学習時間の相関表は800点までです。TOEICのスコア800点の生徒が100時間の学習の後に取れる標準的なスコアは850点でそれ以上はもう記載がありません。
多くの生徒にとっての最終目標が850点前後で、その目標を達成した後は当研究所を辞めてしまう生徒が多いこと、そのこともあいまって900点以上を取った生徒が少ないということもあるからです。
Aさんの最初からの300時間
Aさんの244時間(実質203時間)から360時間(実質304時間)を見てみるとTOEICのスコア805点から860点、55点のアップ。標準的には50点のアップなので、まず標準的にアップしています。
仔細に見てみるとLCは450で変わらないのに、reading が355点から 410点と55点のアップ、ここでの伸びがTOEIC 860点を可能にした理由だとわかります。
目標900点
TOEIC 900点という目標が本人にとって初めて具体的な目標になったはずで、教えているぼくも充分な妥当性を感じます。遠くない将来、昨年の金融機関勤務のビジネスマンN氏のTOEIC 910点に続いてほしいと思います。